悟空さんのマナー教室(後編/ヤムチャ目線)
「…何やってんだおまえら」

目の前で繰り広げられる2人の異常な行動に、俺は精一杯冷たい声音を作った。それに対する2人の返事はこうだった。
「あらヤムチャ、あんたいたの」
「おっす!」
おっす、じゃねえーーー!!
ずっといたさ!全部見てたさ!ブルマ、おまえが悟空のま、ま、股の中に頭を突っ込んでいるところからな!
おまけに何だ、その後のあれは。ほとんど抱きつかんばかりじゃないか。服の中に手ぇ突っ込んでんじゃねえ!口くらい自分で拭かせろ。…ブルマのやつ、俺にだってあんなことしないくせに。
「…何をやってるんだと訊いてるんだ」
俺は再び詰問した。喉の奥が乾いて、今にもガラガラと音を立てそうだった。
「何って、テーブルマナーを教えてたのよ」
「オラ、いいって言ったんだけどな」
あれがテーブルマナーだって!?
ブルマと悟空は、まったく悪びれるところもなく、俺に言った。
「あんた、こないだからおかしいわよ」
「どっか悪りぃんじゃねえのか?」
おまえら…!!
俺がおかしいんじゃない。おまえたちが異常なんだ!
そりゃお互いを姉弟のように想う気持ちはわか…らないけど許してやる。だが、本当の姉弟じゃないんだぞ!っていうか、本当の姉弟だって、抱き合ったりはしないんだ!!
俺は怒鳴りつけてやりたい気持ちでいっぱいだった。だが…
…………
……
…腹いっぱいの悟空と、徹夜明けのブルマだぞ?(特に俺は後者の方が怖い)
あまりに酷いタイミングじゃないか。これほどまでに恐ろしいタッグがこの世にあるか!
俺はブルマと悟空を交互に見やった。

そして戦う前から勝負を諦めた。
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