少年は大人になる(3/おまけエピローグ)
「…っていうこと、あったわよね」
ベッドに腰を下ろし足をぶらつかせながら、ブルマが言った。
「あったかなあ」
ヤムチャはベッドを背もたれ代わりに、床に座り込んでいる。
「あったわよ。っていうか忘れたの?初デートだったのに」
「うーん、まあ…」
もちろんヤムチャは覚えていた。あの時から、自分は遊園地が好きになったのだ。
しかしオチを考えると、思い出したくないな、というのが今のヤムチャの心境だった。
「酷いわね」
ブルマは軽く伸びをすると、現在の恋人を一瞥して言った。
「あ〜あ、あの時のヤムチャはかわいかったなぁ」
「かわいかったって言われても嬉しくないぞ」
ヤムチャは心持ち苦々しげにビールを舐めた。
「だって本当だもん。ウブで、素直で、純粋で。それが今じゃ、こーんなにふてぶてしくなっちゃって。…ま、鈍いとこは変わってないけど」
「おまえなあ…それを言うならおまえだって、信じられないくらいしおらしかったぞ。今とはえらい違いだ」
ブルマはいたずらっぽく瞳を輝かせた。
「なんだ、覚えてるんじゃない」
「……」

結局俺はあの時からずっとブルマにしてやられてるんだな。
ヤムチャはそう思ったが、それは悪い気分ではなかった。
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