Trouble mystery tour Epi.6 (7) byB
ワンパターンと言えば、ワンパターンかしらね。
喧嘩の後に仲直り、っていうのが。いえ、仲直りするのは当たり前なんだけど、そうじゃなくて。…あたしの言いたいこと、わかるわよね。
とにかくあたしはそんな風に一夜を過ごし、わりあいすっきりと目を覚ました。時刻はちょうど8時を過ぎたところ。
「おはよう、ヤムチャ」
朝起きても、ベッドに一人じゃない。そのことが、近頃じゃ珍しくなくなってきていた。だからあたしは、極めて自然なこととして、そう声をかけた。ヤムチャからの返事はなかった。
「う〜…」
ただそう唸って、もそもそと寝返りを打ってあたしに背を向けた。…寝てるのかしら。珍しいわね。ベッドに入ってたって、たいがいあたしよりは先に目を覚ましてるのに。そう思いながら、あたしは少し声を強めた。
「ねえ、ヤムチャ。ねえったら。そろそろ起きるわよ」
同時に背中を揺さぶると、ヤムチャはひどく不機嫌そうな顔をして、未だ開けきっていない目をあたしに向けた。
「ちょっと、何よ、その顔?」
「頭痛いんだよ…」
「えー、風邪ひいたの?こんな時に。だけど変なの。海に潜っても何ともなかったくせに、ちょっと夜風に当たったくらいで…」
「いや…」
ヤムチャは頭を振ったけど、それ以上は何も言わなかった。相変わらず目つきは悪いまま、のそのそとベッドから這い出た。
「…ちょっとシャワー浴びてくる」
「はい、いってらっしゃい」
なんだかいつもと立場が逆ね。のろのろとバスルームへと向かっていく珍しく目覚めの悪いヤムチャを見送りながら、あたしはちょっぴり笑いを漏らした。


ヤムチャがシャワーを浴びてる間に、船内新聞『デイリー・プログラム』に目を通した。
載っているのは、今日の日の出と日の入りの時間。午前の催し物のジャズコンサートと、午後の催し物のショーの案内。映画の上映時間。食事の時間、バーの営業時間。それとちょっとした注意事項――『今晩お休みの前に、時計を一時間進めておくことをお忘れなく!』……
「あれ…」
念の為、テレビでディーブルの地元番組もチェックしてみたけど、何もやっていなかった。新聞とテレビリモコンの両方を元の場所に戻したところで、ヤムチャがバスルームから出てきた。
「どう、少しは頭痛治まった?」
「…全然」
ヤムチャは頭にタオルを被ったまま、素っ気なくそう答えた。あらあら、かわいくないこと。そう思うと同時に、あたしにはヤムチャの頭痛の訳が見えてきた。
「大変ね。昨日あたしがいない間にそんなに飲んだの?一体何杯飲んだのよ」
「さあ…」
「わかんないくらい飲んだの?まー、珍しいこと。一体何があったのかしらね〜え?」
二日酔いによる頭痛よ。そしてその二日酔いの訳は…くくっ。あー、おっかし〜い。
ヤムチャは昨夜パーティ会場でグラスを煽っていた時と同じような仏頂面で呟いた。
「放っとけ」
「あっそ。ま、そんな口がきけるなら大丈夫ね。朝ごはん食べたら出かけるからね」
「どこに?」
「街。ショッピングよ、ショッピング」
「ええ…昨日で終わったんじゃなかったのか?」
天を仰ぐように呻いたヤムチャの頭から、タオルがするりと滑り落ちた。いつもだってたいしていい顔しないけど、今日はずいぶんストレートにいやそうな顔してくれるわね。
「そのつもりだったんだけど、やっぱり行きたくなっちゃった。この辺にゆっくり来れることなんてそうそうないもんね」
「…昨日の地震の被害は?」
「なんともないみたいよ。船はもちろん、ディーブルの街も。まったく何のニュースにもなってないわ」
そのくせ、言うことはやっぱりいつも通り遠回し。しかもその遠回しな言い方を正面から論破すると、ヤムチャはもう何も言わなくなった。早くも降参。…本当に早いわね。昨夜はあんなにしつこかったくせにね。くくく…
「じゃ、あたしもシャワー浴びてくるから。ちゃんと用意しといてね。ルームサービスも頼んどいて。あ、頭痛薬も貰っておくといいわよ」
最後にあたしがそう言うと、いじけたような諦めがヤムチャの顔に浮かんだ。それを見ても、思わずショッピングしたくなっちゃった浮かれた気分は変わらなかった。ふいに零された捨て台詞も、あたしを逆撫ですることはなかった。
「…………鬼」
「なんか言った?」
「いいや。何にも」
はいはい、どうせあたしは鬼ですよーだ。
今朝は言わずに済んだ返し文句を心の中で謳いながら、あたしはバスルームのドアを開けた。
その鬼が好きなのは、一体どこの誰かしらね。ふんふんふーん♪


ショッピングに必要なものって何だと思う?
お金?時間?そうね、それは当然必要だけど、そういう『ないとすることすらできない』ってものじゃなくて、するに当たって大切なこと。荷物持ち?うーん、惜しい。それもまったく関係ないわけじゃないけどね。
答えは、気分。言いかえれば勢いよ。
「あ、あったあった、これこれ。ラッキー、まだ残ってたわ。やっぱりこれ買っちゃおーっと」
「それとそうだ、あの色違いのやつも」
「これなかなかいい色だから、いくつか纏めて買っとこ」
そんなわけで、あたしは昨日にはなんとなく見逃してしまった商品の数々を、買いまくった。ストレス発散のためのショッピングで唯一ともいえる問題が、この『やっぱり買っとけばよかった』ってやつよ。昨日は初日だったから何だか興奮しちゃって次から次へと店を移っちゃったけど、後からゆっくり考えてみれば、これもそれもあれもどれも買っておくべきだったのよ。ティアラなんかに700万もつぎ込んでこういうのはパスしてたなんて、昨日のあたしったら何考えてたのかしら。
あたしは当然とも言える成り行きで、ティアラのことを思い出した。買ったその日に海の藻屑となってしまった歴史ある宝石。ちょっとあの店の支配人には言えないわよね。なんかあの人、宝石バカみたいだったもの。それでつい、あたしも雰囲気に呑まれちゃったのよ。そうでなきゃ、あんな非日常的なもの買わないわよ。ヤムチャにはああいうものの良さがわからないってことだって、わかりきってたことだもの。
『余計な飾り』。昨夜のヤムチャの言葉を反芻しながら、あたしはあのジュエリーショップの前を通り過ぎた。例え冷やかし目的だとしても、今日はあの支配人の長話を聞くつもりはない。そんなことしてたら、あたしの荷物持ちがきっと眠りこけちゃうわ。
「ふあぁ…」
「大きな欠伸ね〜」
夕方、港に戻って船のタラップを上がっていると、ヤムチャが口に手を当てて何度目かの欠伸を漏らした。それが、『漏らした』というにはあまりに大きなものだったので、あたしはついに言ってやった。ヤムチャがなんとなく気を遣ってるってこと、わかってた。今日は一度も『疲れた』とか言わなかったもの。怪我の功名ね。さすがに昨日の今日で同じ轍は踏まないらしいわ。だからあたしも見逃してやってたんだけど、まあこの大きな欠伸には突っ込んでやってもいいでしょうよ。
「あたしより遅くまで寝てたくせにね」
「たいして変わらんだろ」
「でも、あたしが起こさなかったら、きっとずーっと寝てたわよ」
これにはヤムチャは反論しなかったので、あたしはこっそりと笑いを漏らした。なんてことない会話がなんだか楽しい。それもこれも種を知ってるからこそね。昨日キールの独話に付き合ってあげたのも無駄じゃなかったってわけよ。
「わー、きれいな夕焼け!」
デッキに上がると、薄紅に染まった空と海が一望できた。水面からデッキに吹き上がってくる、爽やかな風。夕焼けの赤と夜の闇がせめぎ合う空と、それを水鏡のように映し出す海。遠くに街並みのシルエット。
「きれいねえ。昨夜も思ったけど、この港ってなかなかいい感じよね。まるで映画に出てくる港みたいじゃない」
ところが、そう言った途端にヤムチャがまた口に手を当てた。それも今度は欠伸ではなく、吹き出したのだ。
「何よ?」
「いや、何でもないよ」
何でもなくてどうして吹き出すのよ?
そこまで言う暇はなかった。ふいにタラップの方から聞こえてきた黄色い声が、あたしたちの会話を中断させた。
「ブルマさんヤムチャさん、こんばんはー。よかった、仲直りしてたんですね!」
言わずと知れた、例の双子。しっしっ、あっちいって。反射的に半歩下がったあたしの耳に、続く会話が入ってきた。
「だから言ったじゃん。あれはぜーったい元鞘の流れだって」
「えー、わかんないよ、そんなの。途中で一回いなくなっちゃったしさ〜」
「あれがミソなんだよー。途中でいなくなるのなんて、お約束じゃん」
「リルはそういうの鋭いからなぁ。ねえねえブルマさん、それであの髪の赤いおにーさんとはどうなったんですかぁ?やっぱり振っちゃったの?」
…………なんかいろいろ知ってるわね、この子たち…
あー、やだやだ。ヤムチャったら、一体何を話したのかしら。本ッ当に口が軽いんだから。
少しの呆然の後で、あたしは双子に背中を向けた。この子たちに教える義理はないわ。っていうか、あたしがキールとどうにかなってたら、今ヤムチャと一緒にいるわけないでしょ。そんなこともわからないわけ?…わからないから、訊いてくるんでしょうけどね。勘弁してほしいわね、まったく。
後始末というのか、何なのか。とにかく、すでに自然になりつつある流れで、ヤムチャが双子の相手をすることになった。それは相変わらず、あたしをイラつかせるものだった。
「あのねきみたち、そういう話はもう少し人のいないところで小さな声でこっそりと…」
こっそりと、なんだっつーのよ!!
こっそりと訊かれたって、あたしは教えないわよ。あんたと違ってね!
もう、とことん弱いんだから。いい加減、付き合ってらんないわ。
あたしは再び夕焼け空に目を向けた。なおも会話を続けようとする三人を背後に置いて、今のこの雰囲気を楽しもうとした。目の前に広がる夕焼け空。頬に当たる海からの風。否が応でも耳に入ってくる黄色い声――
「はーい」
「わっかりましたぁ」
「あっ、そうだ。あのねヤムチャさん、あたしたちティアラ買ったんですよぉ。ブルマさんの持ってるやつにもちょっと似てるんですけどぉ、いろんな色の石がついててかわいいの。だから今夜も一緒にダンスパーティ行きましょうよぉ。それであたしたちと代わりばんこで踊って…」
「ダメよ!それはあたしのなんだから!勝手に使わないで!」
でもすぐに、いつもの図々しさを発揮する双子に付き合わざるを得なくなった。あたしがきっちり釘を刺しておかないと、ヤムチャってばすーぐ安請け合いするんだから。
「あ、違いますよ、ブルマさん」
「ブルマさんのじゃないですよ。あたしたちもティアラ買ったんですってばぁ。お揃いの色違いでかわい…」
「あたしが言ってるのはティアラじゃなくて、こっちよ、こっち!」
あたしはそれは懇切丁寧に、ヤムチャを指差し教えてやった。それに対し不満気な顔をしたのは、双子たちではなかった。
「おいブルマ、その言い方はないんじゃないか」
「何よ。何か文句あるの?それともまたOKするつもりだったんじゃないでしょうね」
「まさか!」
「どうだか」
あたしは思いっきり嫌みたらしく言ってやってから、三度船の外へと目を向けた。今日は立ち去らないわ。本当には雰囲気なかろうが何だろうが、この景色は見るわよ。もうすぐ出港なんだから。あたしが引かなきゃならない理由はどこにもないんだから――そう思っていたのだけど、やがて一個の人影が視界に入ってきた時、あたしはそのことを後悔した。
「こんばんは、ブルマさん」
「あ…こ、こんばんは」
どことなく畏まった口調のその挨拶に、あたしは慌てて返事を返した。 しっしっ、あっちいって。と、あたしの方からは言うことのできない、同じ船に乗る同士。…キールよ。別にめちゃくちゃ気まずいってわけじゃないけど、できることなら会いたくなかった。だって、面倒くさそうだから。一応あたし、フォローしなくちゃならない立場だし…
「海を見てたんですか?」
「ええ、まあ」
「夕方の海ってきれいですよね。燃えるような夕焼けと、それを映して輝く水面。一人だと切なくなってしまったりもしますけど。僕は朝の海の次にこの時間の海が好きで…」
…あんまり態度変わってないわね…
相変わらずのマイペースな饒舌ぶり。何も気にしてないのかしら。っていうか、ひょっとしてどうでもいいのかも。確かにこの人、海バカって感じだしなあ。一人でも物欲しそうに見えないのは、そのせいかもね。
「ねえキール、あなた一人で旅行してるの?友達とかは一緒じゃないの?」
「はい一人です。普通の旅行なら友人と一緒にすることもありますけど、船旅だとまず誰も付き合ってくれませんね。時間を取られますからね、船は。だから時々退屈するんですよ。夜なんかは特にね。なのでダンスパーティには毎晩行ってます。それでもいつもはほとんど壁のシミなんですけど、昨夜はブルマさんがいてくれたので、楽しく過ごすことができました。よかったらまたお相手してくださいよ」
「そうねー…」
ちょっとくらいなら、それもヤムチャと喧嘩した時になら、それもいいかもね。いつしかあたしはそんな風に考えていた。キールの態度があまりにも軽かったからだ。あたしのよく知ってる男とは別の意味で。所謂、洗練されてるってやつよ。この人とは後腐れのない付き合いができそうだわ。
あたしでよかったら、喜んでお相手するわ。ちょっと気取ってそう言ってあげようと笑顔を作りかけた時、後ろからあたしのよく知っている軽い声が飛んできた。
「はいストップ。そこまで!」
次の瞬間つかつかと隣へやってきたヤムチャは、あたしの肩を引き寄せながら、さらに言葉を投げた。
「これは俺のですからね。勝手に手出さないでくださいよ!」
同時に閃いたその笑顔は、昨夜ほど怖くはなかった。どちらかというと真顔に近い感じ。あたしは驚き半分呆れ半分で、つい突っ込みを入れてしまった。
「『これ』って何よ、『これ』って。人を物みたいに言わないでほしいわね!」
「何だよ。おまえだって言ったじゃないか」
「あたしはいいのよ!」
ちょっと強めに言ってやると、それだけでヤムチャは黙った。やれやれ。くだらない喧嘩をして醜態を見せずに済んだわ。あたしは息をついたけど、それはまだ早かった。
突然ヤムチャに啖呵を切られたキールは気持ちの整理がつかないらしく、その饒舌な舌を未だに動かさないでいた。そしてヤムチャはといえば、啖呵を切るだけ切っておいてそれ以上何かを言おうとはしない。永遠に続くとも思われる、無言の三竦み…
「…………」
「…………」
「ちょっと、ねえ…」
どうしてくれんのよ、この気まずさ?
あたしは横目を流しながら、あたしの肩を抱く男の胸を小突いた。あたしは当たり障りのない会話をしてただけなのに。まったく、大人気ないんだから…
「あのー、こんばんはぁー」
「はじめましてー」
さすがに昨夜と同じ台詞を使う気にはなれずにいると、双子が(まだいたらしいわ)場に割り込んできた。そして場の空気も何のその、それはえげつなくキールにすり寄っていった。
「あたしはミル。こっちはリルです。双子なんですー」
「あの、あたしたち昨夜ダンスパーティに出てたんですけど、おにーさんすっごくダンス上手ですね!」
「そうそう、ステキだった!」
「それでお願いなんですけど、今夜あたしと踊ってくれませんか?」
「あたしともお願いしまーす。代わりばんこでいいですからー」
…確かに、どうしても彼氏がほしいってわけじゃなさそうね。前に双子の言っていたことをあたしは思い出していた。『代わりばんこ』で満足しちゃうくらいだもんね。それにしても、本当に誰でもいいのねー。どう見たってヤムチャの方が格好いいのに。最も絶対に貸さないけど。…まあとにかく、助かったわ。
「…あ、こんばんは。僕はキールです。えーとそうだね、そういうことなら…」
初めてこの子たちの図々しさが役に立ったわ。そう思いながら、新たに出来上がった3人グループの傍を離れた。あたしの肩を拘束する男を引き連れて。それからまた海に目を向けたけど、もはやあたしのテンションはかなり下がってしまっていた。インターバルあり過ぎだわよ。せっかくの夕焼けがすっかり終わりに近づいちゃったわ。
「…ねえ、ヤムチャ」
夕陽を浴びて色づく水面から自分の肩に置かれ続けている大きな手へと視線を移しながら、あたしは口を開いた。とりあえずは何にも邪魔されることのない今となっては、それだけが気になることだった。
「ん?」
「あんた眠いんじゃなかったの?早いとこごはん食べてさっさと休んだら?あたしなら適当に遊んでるから」
「ああ…」
我ながら寛大ね。寛大過ぎるかしら。でもまあ、いいんじゃない。もう呆れちゃうくらい、そういう気分味わわせてやったし。全然まったくそんなつもりもなしにね。意外と根深いわよね、こいつの嫉妬って。ちょっと困っちゃうくらい。せめて明日の朝には忘れててくれるといいんだけど。
最後の思いに特に強く背中を押されて、あたしは言ってやったのだった。でもヤムチャは、少しの逡巡の後で、小さく、でもきっぱりとこう言った。
「…いや、いい。一緒にいる」
「ふーん。そう…」
せっかく人が気を遣ってやったのに、突っ張っちゃって。
たいした感慨もなく、あたしはそう思った。ヤムチャって、時々妙に強気になることあるから。それも男に対しては特に。女にはからっきし弱いくせに。昔っからそうだったわ。
言っとくけど、あたしが女扱いされてないって話じゃないわよ。ヤムチャがどうして突っ張ってるのかなんて、わかってる。あたしを女扱いしてなけりゃしないような突っ張りよ。そうじゃなきゃあたしだって…
……
…………あっとっと…
軽く息をついた次の瞬間、思考が飛んだ。ヤムチャがキスをしてきたからだ。それも軽くはないやつを。
ちょっと、何よいきなり。いきなり過ぎるわよ。しかも、こんなに人のいるところで…
と思いつつも、あたしはそれを受け入れた。完全に不意打ちで、気が付いたらされてたからどうしようもなかった、というのが本当のところだけど。それでも、その後で文句を言わなかったのは、あたしの意志によるところだ。
…完全に吹っ切れてるわよね。キレちゃってるって言ってもいい。いくら手摺り沿いとはいえ、前には海しかないとはいえ、こんなに人のいっぱいいるところで誤魔化しようのないキスをして、何事もなかったかのような顔をしているばかりか、 立ち去ろうともしないなんて。それどころか、なんか肩を抱く手に力入ってるし…
あたしは背筋にくすぐったいものを感じながら、ヤムチャの肩に頭を預けた。そしてゆっくりと夕陽に目をやった。
ま、いっか。
これはこれで、そう悪くない気分よね。
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