Trouble mystery tour Epi.11 (3) byY
結局、ブルマがドレッサーの前から腰を上げたのは、列車が減速して後のことだった。
当然のこととして、ラウンジへ着く前に列車は止まった。それにも関わらず、ブルマは依然としてのんきに、窓の外の流れない景色なんかを眺めたりしていた。
「わー、虹が出てるわ。大きーい。見てあれ、きれいねえ」
「ああ本当だ、きれいきれい…って、そんなこと言ってる時じゃないだろ。ほら、早く行かないと、ミルちゃんとリルちゃんが待ってるぞ」
「もう何よ、少しくらい遅れてもいいんだってのに…」
それにしたって、姿勢が問題だろうよ。
ピクニックに行くのにそんなに念入りに化粧して、これから行く場所の景色を遠目に窓から見たりして。わざと遅れるようにしてるとしか思えないんだからなあ。
俺は軽く呆れながら、微かに怒りを帯びたブルマの背中を押した。やがてラウンジに着くと、そこにもまた怒りを帯びた女の子の姿があった。
「ブルマさん、おっそぉーい!」
「もうみんな行っちゃいましたよ。一番乗りしたかったのに〜」
「ごめんごめん、ちょっと支度に手間取っちゃって…」
――なんで俺が謝ってんだ。
いつもと違ってそう思ってしまったのは、支度に手間取った覚えが自分にはまったくなかったせいだろう。それと、ブルマのこの態度だな。
「誰もいない方がかえっていいじゃない。ぞろぞろと狭い道を列を成して歩かずに済んで。恥ずかしいのよね、ああいうの。いかにも団体客って感じして。街中とかならともかくさ。じゃ、そんなわけで、あたし先に行くから」
ブルマのやつ、なんだか妙につんけんしてるんだから…
いつものことと言えばそうなんだけどさ。でも今は、たまたま鉢合わせたとかではなくて、自分で誘いを受けたんじゃないか。…まったく、呆れるな。
そして、呆れているうちにブルマはさっさとラウンジを出て行ってしまった。呆れを増した俺をよそに、ミルちゃんとリルちゃんは軽く口を尖らせただけで、手に手にバスケットを持って席を立った。
「もう、ブルマさんってばぁ〜」
「ミル、あたしたちも行こうよ。うーんしょ、っと」
「そうだね。うーんしょ、よいしょ。あー、重ーい」
「ずいぶん大きなバスケットだなあ。それ、二つとも持っていくのかい?」
籐でできたトランク型のピクニックバスケット。その大きさを知った瞬間、俺の呆れは対象を変えた。ちょっとピクニックへ行くだけにしては大き過ぎるような気がしたのだ。悟空がいるわけじゃあるまいし。
「そうですよー。もうこの列車も最後だから、いーっぱい頼んだの!」
「この列車のコックさんの作るお菓子、超おいしいもんね。明日もお土産に作ってもらおうか」
「あー、それいい!」
――色気より食い気か…
もっとも、その呆れはすぐに形を変えた。…食べられるかどうかじゃなくて、食べたいだけ欲しがったりするんだよな、子どもって。ブルマもそういうことはわかってるから、この子たちからの誘いをOKしたのかもしれない。
「ははは、女の子って本当に甘いものが好きだよね。ほら、貸してごらん、俺が持つから。さあ、リルちゃんも」
「わぁ、助かりますぅ〜」
「ヤムチャさんてば頼りになる〜ぅ」
「はっはっ、なんのこれしき」
そして、俺自身はというと、ことここに至ってようやく自分の存在意義を確認していた。
『いーぱい頼んだから』俺に声をかけたわけだな。なるほど…
まあいいさ。ある意味すっきりした。実際、こんなバスケットくらいどうってことないしな。こんなもの片手で持てる。
列車の外に出ると、そこはすでに森の中だった。停車したのはほぼプラットホームしかない駅で、降りた途端に鳥の囀りが聞こえてきた。さらにそれを掻き消すように、どこかで聞いたような会話が聞こえてきた。
「あっ、虹!ほら見て、あそこ」
「わー本当、大きい〜、きれーい。ねえ、あっちって湖のある方じゃない?」
「あー、そうかも。ジャストタイミングだね…あっ、リスだ!」
「えっ、どこどこ?」
「こっちこっち」
女って、基本的には変わらないもんだな。女か女の子かの違いくらいで。
手ぶらになった女の子たちはもうすっかり探検気分で、手に手を取って所謂道草を食い始めた。森を進む道はどうやら一本道のようだから、注意する必要もあるまい。それで俺はちょっとだけ注意して、手ぶらの女のところへ行ってみた。一人さっさと列車を降りて行ったブルマは、またも一人さっさと先を歩いているのだった。
「歩くの早いんだからな、もう」
怒っている時は特に。そう、俺はブルマの顔を見るまでもなく、怒っているとわかっていた。ブルマは怒ると不貞腐れて歩を止めるタイプではなく、むしろさっさとどこかへ行っちゃうタイプなんだよ。
「普通でしょ。あんたこそそんな大きな荷物持ってるくせに、あの子たち置いてさっさときちゃって」
「おまえ、文脈が変だぞ」
「あら、そーお」
まあ、正確には、怒っているというより、不機嫌になっているという程度だが。それにしても、勝手だなあ。
「ブルマ、おまえさ、そういう態度取るんなら、最初から誘いを受けなきゃいいじゃないか。あの子たちは気にしてないみたいだからいいけどさ」
「なら、いいじゃない」
「いや、いいってそういう意味じゃなくてだな…」
…どうも薄氷一枚の上って感じだなあ。
ブルマの機嫌が。怖くはないけど、気を遣わずにはいられない荒っぽさだ。誘いを受けた当の本人はちっともあの子たちの相手をしないで、俺がフォローしたら妬くなんて(そうなんだろ。今の台詞からすると)、だったら一体どうして誘いを受けたんだ。…これで楽しくピクニックができるんだろうか。
軽く暗澹たる気分になりつつ、俺はブルマの後を追い続けた。さらに少し離れた後ろに、賑やかな声を上げながら走ったり道草を食ったりしているミルちゃんとリルちゃん。見事な縦長。これ、一緒に出かけてるって言うのかなあ。俺が荷物を持ってなかったら、絶対そうは見えないと思うんだけど。
だが、それからしばらくして道が曲線に差しかかると、四者の距離は一気に縮まった。
ふいにブルマが足を止めた。それからこれまでとは一転して自分から俺の傍にやってきて、腕に手を絡めてきた。そのあまりの態度の変わりぶりに、俺は照れるより先に不思議に思った。
「どうしたんだ、急に?」
「うん、ちょっとね」
ブルマはいつになく歯切れの悪い返事で、あからさまに不自然な笑顔を浮かべていた。おまけに、そこから動こうとしない。そのうちに、ミルちゃんとリルちゃんがやってきた。
「あれえ、ブルマさんたち、そんなところで立ち止まっちゃって、どうかしたんですか?」
「あー、えーと…」
「何でもないのよ。ほほほ、どうぞお先に」
「あーっ、ブルマさん、腕なんか組んじゃって。さてはまた仲直りのキスですね!」
「あたしたち邪魔しませんから、ごゆっくりー」
…一体、俺たちは何度ケンカしてるんだ。
やがて時間差で湧き起こってきた照れは、だがすぐさま自分たちへの呆れに転化した。そう、双子を責める気にはなれない。あの子たちには邪気がないから…あるにはあるみたいだけど、そういう邪気じゃないから……そういう邪気ってなんだろう。要するにぶっちゃけて言うと…女の子だからかな…
一方、邪気とまでは言わないがなんとなく含むところのありそうな女は、双子の姿が見えなくなった途端に文句を言い始めた。
「まったく、ちょっと言い合ってるとケンカ、くっついててもケンカ。一体人を何だと思ってるのかしらね」
もちろん、双子の期待に沿いそうな雰囲気など微塵もない。もっとも、それは俺にはわかっていたので(どう見てもそんな感じじゃなかった。っていうか、そもそもケンカしてねえ)、今ひとつわからない他のことについて訊ねた。
「そう思うなら、どうして否定しなかったんだ」
「そ、それは……そんなことに目くじら立てるなんて、大人気ないと思ったからよ。あたしたちはケンカなんかしてないんだから、堂々としてればいいのよ」
まったくもって正論だ。ブルマが言っているとは思えないほどにな。
ここまでさんざん目くじらを立ててきたブルマだが、ついに悟ったか。と、素直に思うには、俺はブルマに振り回され過ぎていた。だが、気まぐれとはいえせっかくそんな風に思っているところに水を差すのもなんなので、とりあえず言っておいた。
「…まあなんだな。なかなか賢明な判断だ。大人の思考法だな」
「でしょでしょ!やっぱりそう思うわよね!」
「じゃあ、ちょっと急ぐか。あんまり遅くなってしまうのも、大人としてはなんだからな」
「あら、いいじゃない。そんなにあくせくすることないわよ。せっかくだから、のんびり行きましょ。こういう道中もピクニックの大切な要素よ」
「…さっきまであんなに早く歩いてたくせに」
「気が変わったのよ」
はいはい、どうせそうだろうよ。
俺はまったく腑に落ちず、だが一方では了解して、ブルマの言葉に従った。双子たちには悪いけど、ブルマの方が何倍も怖い。それにどうせ、二人にはすぐに追いつくさ。花を摘んだり、小動物を追いかけたり、歩くより遊ぶ方に気がいってるようだったからな、あの二人は。
そして思った通り、いくらか歩いたところで二人に追いついた。ただし、そこにいたのは二人だけではなかった。
「…世界中を見て回る旅ってわけね。素敵ね」
「はい、パパとママは心配してたんですけど、おじいちゃんが説得してくれて」
「そうなの、『聞いた百文よりびた一文まからない』とか言って…」
「『聞いた百文より見た一文』だね、それは。それでも何か違うような気はするがね」
「あれっ、そうだっけ?」
「んー、どうだったかなぁ」
意外と細くはない腕を誇示するようにシャツの袖を捲り上げてエイハンが、こんな自然の中では不似合いな長いストールをなびかせてリザが、それぞれ双子の傍にいた。二人がそこにいたことは、それほど意外ではなかった。おそらく目的は俺たちと同じだろう。だが、そうと知りつつそんな行動を取っていた人間が一人いたというのは、意外だった。そう、俺は二人の声を聞き取る前に、そのブルマの呟きを聞いたのだ。
「…やばっ」
あまつさえ、その時ブルマはまた足を止めた。同時に、俺の腕に絡める手の力を強めた。そのあからさまな態度に、俺は思わずにはいられなかった。
…ずいぶんと姑息な手を使ったものだな。
らしくないというかな。ガードの仕方がいつもと違い過ぎる。そんなに逃げ腰にならなくってもいいじゃないか。何日か前にエイハンにそうしてたみたいに、ビシッと平手打ちでも食らわせてやったらどうだ。
「あっ、きたきた。ブルマさん、ヤムチャさーん」
「んもう、遅いですよう。あのね、今そこでエイハンさんとリザさんに会っちゃって〜」
まあ実際は、出会い頭にしかも女同士でそんなことをやられたら、大変困るが。でも、そんなに尻込みしなくたって…
俺の腕を取ったまま隠れるように一歩後ろへ下がったブルマの様子は、ある意味新鮮だった。例えば性質の悪いナンパに絡まれた時とかでさえ、こいつ自分からは引かないんだからな。俺を盾にすることはあっても、あくまで手持ちの武器扱いっていうか…
「やあ、こんにちは。ふーん、きみたち、結構仲いいんだね」
「ほーんと。当てられちゃうわ」
「あら、ほほほ。恥ずかしいわ」
『結構』。さりげなく添えられたエイハンのその言葉に俺は引っ掛かりを感じはしたが、それより関心はそれに受け答えるブルマにあった。一見余裕を見せつけるように笑ってかわしているブルマに。
なんていうかさ。迫力がないんだよな。笑顔が全然怖くない。そう、ブルマが心から笑ってるんじゃないってことくらいは、俺にだってわかる。でも今ひとつ険が足りない。いや、全然足りない。
「なんでも、かなり付き合いが長いそうだね」
「ちょっとあんたたち、何、人のこと勝手に喋ってんのよ!?」
「えー、本当のことなんだし、いいじゃないですかぁ」
「あたしたち、そこだけはすごいなって思ってるんですからぁ」
「…あらそう。それはありがとう」
『そこだけは』。きっと本心で言っているに違いないミルちゃんの言葉に俺は何とも言えない気分を味わいはしたが、やっぱり関心はブルマの態度にあった。らしくもなく、その言葉を笑って流したブルマに。
おもしろい、などと思っていたわけではない。そこまで意地が悪くはない。ブルマの気持ちはよくわかる。ブルマもきっと、昨日までの俺の気持ちがよくわかったことだろう。…呑まれるって、そういう感じなんだよ…
そんなわけで、ブルマはすっかりリザの視線に呑まれていた。一方その視線から開放された俺は、言わば場の雰囲気に呑まれていた。何とかしてやりたいとは思ったが、言うべき言葉が見つからなかった。だって、何て言ってやりゃいいんだよ?エイハンは一見何の問題もない言動を取っているし、リザは視線こそ強いようだがそれだけで何も言わないし。さすがは経験豊富な年上と言うべきか、なんか隙がないんだよな。これが戦いの場だったなら、こちらから仕掛けてやってもいいんだが。こういう心と心の戦いはなあ…はっきり言って苦手なんだよ、俺は…
「ねー、ブルマさん。シルビー湖に着いたら、まず最初にボート乗りましょうよ」
そんな一見みな笑顔、その実緊迫した空気の中、双子が無邪気に口を開いた。言わばこの子たちは一服の清涼剤かな。俺はそう思ったが、それは早計だった。
「エイハンさんたちもそうするって言ってるし。それでお花畑でお茶するの!」
「あのね、岸の向こう側にお花畑があるんだって。それがすっごくきれいなんだって。エイハンさんが詳しい場所知ってるって」
「そこはちょっとした穴場でね。周りが茨に囲まれていて、水辺からじゃないと行けないところなんだ」
「まあ、そうなの。そういうことなら、あたしたちは遠慮しておくわ。ボートなら少人数の方がいいでしょうし、とーっても残念だけど、あたしたちの分のお茶菓子はお二人にお譲りするわ。ね、ヤムチャ」
「…ああ、そうだな、それがいい…」
おそらく双子には他意はなかっただろう。だが、エイハンの言葉にはそれがあった。
「いやいや、遠慮には及ばないよ。というより、来てくれた方がありがたいね。ボートと言っても、実際はオープンデッキのカヤックなんだ。それも3人乗りの。男が二人いた方がいい」
そしてそれがわかっても、俺はそれ以上口を挟めなかった。…うまいよなあ。そう言われてしまえば、唯二の男である俺としては文句を言えない。ブルマが俺から離れないと見るや、俺をも巻き込むこのやり方。本当の本当に性質が悪いナンパ師っていうのは、むしろ洗練されてるんだな…
「でも、一人くらい多く乗せたって…」
「大丈夫ですよ、ブルマさん。お菓子、いっぱいあるって言ったでしょ!飲み物だってたっくさん!」
「あたしたちがそういうこと考えないで声かけると思いますぅ?」
自ら言い切ってしまう双子たちの打算的な性格さえもが、この際はかわいく思えた。女の子だから、という理由ではない。邪気は邪気でも、この子たちのは子どもらしい邪気だ。だって、『やれやれ』って思えるもんな。そこへいくとエイハンとリザのは、『おいおい』っていう…
「ところでブルマさん、そんなにヤムチャくんにべったりひっついてて、歩きにくくないの?」
ふいに、リザが口を開いた。基本的には無口を通す彼女がおもむろに口を開く時、なぜか俺はいつも気が詰まった。それはブルマも同じようで、顔には依然として笑みを浮かべながらも、俺の腕を掴む手に力が入るのに、当然掴まれている俺は気づいた。
「え?あ、えーと、その…あたしちょっと疲れちゃって…」
「あら、でもヤムチャくんは荷物を二つも持って大変そうよ。代わりに私が手を引いてあげましょうか?」
「い、いえ、それは結構…」
「そうだね。どれ、私も荷物を一つ持とう」
おいおい…
まさしく俺はそう思った。有耶無耶のうちに同行者となろうとするエイハンは抜け目のないやつで片付けてやってもいいが、リザに対してはとてもそうすることはできなかった。
…普通、女同士で手は繋ぎ合わんだろ。この双子くらいの年頃ならともかくな。
「ああ、どちらも結構ですよ。これくらい、俺どうってことありませんから」
この際、角が立っても構わん。だいたい、ブルマがいつも通りなら、とっくに角が立ってるはずなんだ。そう思いながら、俺は口を出した。今や穏便に済まそうなどとは思っておらず、言わば慇懃無礼のつもりだった。だが、その途端にリザがその視線をこちらへ向けたので、俺の気概はたちまち消えた。
「まあ、あなた意外とたくましいのね。素敵だわ」
「…………そ、それはどうも…」
ちょ…ちょっと待ってくれよ、その色目……ひょっとして、俺にもまだ気が残っていたりするのか?…
えええええ!?…そんな…それってどういう…カップルの男も女も両方好きだなんて一体……まさかそれで俺も纏めて誘ったのか?
『意外と』。考えてみると非常に失礼なその言葉を、俺はすっかり聞き流した。ミルちゃんとリルちゃんがフォローしてくれたが、それすらもどうでもよかった。
「あ、リザさんたちは知らないんですね。ヤムチャさんはすっごく強いんですよ!ハイジャックの人を一発でやっつけちゃったんだから〜!」
「それに力持ちだしね。もっといっぱいの荷物持ってるとこ見たことあるもん!」
「あらあら。いろいろ大変な目に遭ってらっしゃるのね」
…いや、むしろやめてくれって気がするな。エイハンにならともかくリザにそういうことを言うのは。強さ自慢もだが、何よりリザの占いを肯定するような話になってしまっている。
もっとも、あれについては、それでいいって言ってやったんだが。そう、俺自身否定しなかった。なぜなら…
「あんたたち、人のこと何でもぺらぺら喋るのやめなさいよ」
「えー、いいじゃないですかぁ。本当のことなんだしー」
「ツアーの人はみんな知ってますよ。今さら隠したって無駄ですよ〜」
…そうなんだよなあ。事実な上に、秘密でも何でもないんだ。舞空術を使う時にちょっと人目を忍んでる程度で。今さら口止めしてどうにかなるようなことじゃない。
「隠してるわけじゃないわよ。あんたたちが自慢するようなことじゃないって言ってんの」
「だーって、ブルマさんが言わないからぁ」
「そうですよ。じゃあ、ブルマさんが自慢してくださいよぉ」
「だから何で自慢しなきゃいけないのよ」
ふと気づくと、ブルマがだんだん元気になってきていた。きっとリザから双子たちへと相手が代わったせいだろう。この子たちはカンフル剤だな。ブルマもこの子たちに対しては、口うるさいけどあまり怖くなくなってきてるし…
俺は意識と無意識の両方で、リザとエイハンの存在を心の隅に追いやった。努めてブルマと双子たちへと目を向けると、自然とその言葉が胸に浮かんできた。
――やれやれ…
inserted by FC2 system