噂の女
ブルマが床に散らかる資料を、一箇所に掻き集めている。
どうやら論文書きは終わったらしい。ドアの隙間から覗き見て、瞬時に俺はそう判断した。
だって、そうでもなければ、こいつが片付けなどするはずがない。…まあ、片付けているとは言ってもせいぜい物を部屋の隅に寄せる程度で、結果的に片付けるのは俺なんだがな。
とにかくこれで、雑然とした部屋からは開放されるわけだ。よかったよかった…
俺が安堵の息を吐いた瞬間、ブルマが叫んだ。
「さあ、もう1本行くわよ!」
「まだあるのか…」
堪らず俺は呟いた。ドアを大きく開けながら。
「あら、ヤムチャ。おかえり」
ブルマは僅かに振り向きながら、惰性でマウスをクリックした。
「今度はレポートだけどね」
俺はブルマの周囲に規則正しく置かれた(と本人は言っている。どう見たってぐちゃぐちゃだが)資料に目を走らせた。
乱雑に伏せられた冊子の山。これでもかと言うほど貼り付けられた付箋(そんなにたくさん貼ったらわけがわからなくなると思うんだけど)。一見速記にも思えるメモ(だがそうではない。こいつのメモに書かれた文字は、まったく本人以外には読めないのだ)。新たな序章の始まりだ。
「論文とレポートって、どこが違うんだ?」
一体どっちの方が時間かかるんだろう。どちらにしても、あまり長引かないでほしいものだな。
「一言で言えばボリュームかな。あとは、意見を主張することとそれを考えることの違い」
「よくわからないなあ」
「うん、実はあたしにもよくわかんない」
おいおい。
まったく頼むよ。さっさと終わらせてくれよな。

今日は一日、ブルマは部屋に篭っていた。意外と真面目だよな、こいつ。篭っているのが俺の部屋でなければ、手放しで褒めてやるんだけどなあ。
ぶつぶつと何事かを口にしながら、ブルマはキーを叩いていた。たぶんレポートのタイトルだ。この前に書いていた論文とは違って、俺にはそれがわかった。幾分言葉が優しかったからな(とは言え内容を知りたいと思うほど、親近感の湧くタイトルではなかったが)。
小首を傾げつつパソコンに向かうブルマを横目に、俺は筋力トレーニングを開始した。
そろそろ日付も変わろうかという時間ではあるが、ブルマに手を休める気配はない。俺も別に構わなかった。
まだ眠くならないし。修行の後って、妙に目が冴えるんだよな。初めの頃は疲れであっという間に寝入っていたものだけど。俺も成長したもんだなあ。
部屋に響くキーの音は、やや変則的だった。ブルマはメモに目を走らせては放り捨てて、何度も頬杖をついた。調子悪いのかな。珍しいこともあるもんだ。
それとも疲れたのかもな。一日中パソコンに向かっていれば、そりゃ疲れるよな。やることが極端なんだ、こいつは。
もう寝ろと言いかけてついでに体勢を変えた時、キーを叩く音が止んだ。メモを1枚細々と千切りそれを床に撒き散らすと(ちゃんとゴミ箱に捨てろ)、ブルマはおもむろに口を開いた。
「ねえヤムチャ。海行こ、海」
「何だよ急に」
「いいじゃない、夏なんだし」
…あのな、おまえ。
俺は呆れた。一見それっぽい理由にも聞こえるけど、そうではない。だって、ここは常夏だ。いつだって夏なんだ。ただ観光客が多いかどうかの違いだけだ。…まあ、ウーロンなんかにとっては、それは大きな違いであるようだけど。
「ダメだって。俺には修行があるの」
わかりきったこと言わせないでほしいなあ。
水中でのトレーニング法もあることはあるけどさ。それにはちょっと時期が悪いよ。やっぱりシーズンオフじゃないと。
「あーら、そんなこと言っていいわけ?」
俺の言葉に、ブルマはにやりと笑ってみせた。とても疲れている人間のするものとは思えない、それは会心の笑みだった。
「あんたが夜な夜な何やってるか、みんな知ってるのかしらねえ」
…彼女に脅されるなんて、聞いたこともない。脅されて彼女にしたという話ならばともかく。


あれから2日後。
結局俺は、今年もまた海へとやって来た。カメハウスのみんなと一緒に。
武天老師様は、今やすっかりブルマに甘くなっていて(ひょっとすると今年もまた裏で密談があったのかもしれないが、俺は知らん。知りたくもない)、海へ行こうというブルマの提案を、一も二もなく諒承した。他のメンバーもまたそれぞれの反応で――ランチさんはにこやかに弁当を作ると宣言し(おとなしい方のランチさんだ)、ウーロンは言わずもがな、プーアルにも異論はなく、クリリンは持ち前のノリの良さで、これに参加した。
というかさ、やっぱり時々忘れかけるんだけど、クリリンはもう巣立ってるんだよな。ただここに留まっているというだけで。だから、実質的に生活を乱されているのは俺だけだということになる。腐るよなあ。
そして、それはまったくあいつの操作しやすい状況だ。今頃それに気がついてしまった。
思えば最初にあのことをブルマに話した時、こういう態度に出なかったことが奇跡だ。あの頃のあいつはかわいかったんだなあ。

相変わらずの暑い海。
照りつける太陽と人いきれの中、俺はサングラスを外しビーチチェアから体を起こした。そろそろいい時間だ。
おもむろに立ち上がり人込みの中へと突入しかける俺を見て、ウーロンが短く嘆声を漏らした。俺も素っ気なく答えた。
「行くのか、ヤムチャ」
「ああ」
「おまえも大変だな」
「まあな」
未だここに姿を見せない人物を、俺は迎えに行くところだった。…ブルマだ。そう、あいつは今年もまた遅刻。理由は寝坊。もはや誰も、それを口に出して咎めようとはしなかった。…あいつ、何だかんだ言って、すっごくうまいことやってるよな。
ウーロンの手前さっきはああいう態度を取ったが、俺はブルマを探すことをさして面倒だとは思っていなかった(ちなみにあいつに言われたわけではない。まったく自主的な行動だ)。いちいちケンカを仲裁する方が、よっぽど面倒だ。それにこの方が余計な恥をかかされずにすむ。
本当に、あいつは何でああケンカっ早いんだろうな。少しは流すということができないものかな。まったく無駄なエネルギー使ってるよな。非力なくせして、変なとこだけタフなんだからな。
そんなことを考えながら、俺は歩き続けた。人込みは掻き分けずに。
そう、今日の俺には人の流れがよく見えた。溜息をつきたくなる程の人込みの中で、自分の歩くべき道が無意識のうちに現れるのだ。あれかな、休息も修行のうちってやつかな。よくあるじゃないか、連日の厳しい修行に耐えた人間がちょっと体を休ませると、その効果も相まってものすごい強さを発揮する、みたいなやつ。てっきり漫画の中だけの話かと思っていたけど、現実にもあるのかもな。
人頭の波の中に菫色の髪が見えた。あいつの髪色は独特だ。こういう時には便利だな。
ブルマの方へと一歩を踏み出して、俺は気づいた。
あいつの後ろに寄り添うように歩いている短髪が2つ。まさに今声をかけようとしている。
さっそくか…
まったくあいつは、ああいうのによく捕まるよな。みんな見事に騙されてやがる。ちったぁ人の中身を見抜く目を養えってんだ。
俺は足を速めた。何とか事が始まる前に辿り着きたい。
あいつがケンカを売り出す前に。

俺の心配は杞憂に終わった。
もう少しでブルマに俺の声が届くという距離まで来て、男たちが踵を返したのだ。
俺が彼氏ってわかったのかな。俺たち、そんなオーラ出てるかなあ。
そういえば武天老師様やクリリンも妙に俺たちのこと疑ってたし(カメハウスに戻ったばかりの時な)、ひょっとしたらそうなのかもな。…何だか照れくさいな。
俺はブルマに近づいた。あいつの方もとっくに気づいていたようだ。やっぱりオーラだな。
「よう、起きたか」
挨拶代わりの軽いジャブに、ブルマは答えた。…寝起き特有の不機嫌さで。
「見りゃわかるでしょ」
確かにな。だが俺の訊きたいことは、そういうことじゃないんだ。
「体がじゃなくて、頭がだよ」
「殴るわよ」
殴れるのなら大丈夫かな。
会話を続けるに問題なし、そう俺は判断した。こいつ、本っ当に寝起き悪いからな。この判断を誤ると、とんでもないことになる。
俺は事前調査を開始した。
「おまえ、ここに来るまで何人に声かけられた?」
「…何でそんなこと訊くの?」
今後の対策にだよ。
…なんて言ったら怒られるだろうなあ。
「で、何人だ?」
俺はブルマの質問を無視することに決めた。
「そんなのいちいち覚えてないわよ」
…覚えきれないくらいかよ…
まったく世の中どうなってるんだ。
みんな、顔が良ければいいのか?本当にそれでいいのか?
確かにこいつは顔はかわいいけど。あとスタイルもかなりいいけど。でもそれだけだぞ?いやむしろそれ以上だぞ!?よしんばナンパに成功したとしても、絶ッッ対に後悔するぞ。
いっそ、そう書いておいてやろうか。背中かどこかに。それが親切心ってもんだ。
「ほら、行くぞ」
どことなくぼんやりしている(まだ少し寝ているな。俺、危ない橋を渡ってたんだな)ブルマの背中を俺は叩いた。そして右手を掴んだ。
…平手打ち封じだ。

心許なかったブルマの手に少し力が入ってきた。俺は一瞬躊躇したが、その手を離した。そろそろみんなのところに着く。まあ大丈夫だろう。
ここで何か起こっても、俺一人の責任ではない。…と思いたい。
「おいヤムチャ、おまえ何やったんだ?」
合流するや否や、ウーロンが切り出した。その目は疑心に満ちていた。
「何の話だ?」
「おまえ、噂になってるぞ。ナンパ野郎の間でよ」
何だそれは。
ナンパ野郎に横の連帯なんかあるのか?そしておまえはもうそこに入り込んでいるのか。さすがと言うべきなのかな、これは。
「ヤムチャあんた、ナンパしたの?」
思わず考え込んだ俺の意識を、ブルマの声が引き戻した。恐ろしすぎる現実に。
「何言ってんだ!するわけないだろ、そんなこと!」
我が身に降りかかりつつある危機を、俺は即座に察知した。
「ふ〜ん?」
「本当だって!だいたい、俺さっき来たばかりだし!なっ、プーアル。っていうか、おまえらみんな一緒にいただろうが!!」
プーアルは頷いてくれた。だが、それで危機が去ったわけではなかった。ウーロンとクリリンが訝しげな顔で言ったのだ。
「さっきまではな」
「ヤムチャさんいつの間にかいなくなっちゃうから…」
おおい!
何だこの罠は。
「俺はブルマを迎えに行ってたの!!なっ、ブルマ!!」
「あたしに会う前にしたんじゃないの?」
「してないって!!」
俺はブルマにビーチの隅へと連れ去られた。恐怖の尋問が始まった。ほとんど脅迫紛いのあいつの言葉に俺は耐えた。耐えて耐えて、耐え続けた。
30分後、ようやく俺はブルマを説き伏せ、みんなの前に再び顔を出した。
「と、いうわけで人違いだ」
「何が『というわけ』なんだか」
腕を組み口を尖らせて、ブルマが言った。
おおおい!…もう勘弁してくれよ。
ウーロンがさらに口を開いた(おまえもう口閉じろ。頼むから)。
「でもよう、風貌がそっくりなんだよな。黒髪でガタイが良くて拳法の使い手で、荒野訛りがあってガキのくせに生意気で。どう聞いたっておまえだろ」
ガキ!?
思わず叫びだしそうになる俺に、ブルマが笑いを噛み殺した。
わかったよ。どうせ俺はガキさ。ああ、ガキだよ!
これ以上事を荒立てる気力は、俺には残っていなかった。俺は現実的な疑問を口にした。
「俺、訛りなんてあるか?」
初めて言われたぞ、そんなこと。だいたいそんなものがあったなら、こいつが黙っちゃいないと思うんだが。
「さあねえ、そうでもないと思うけど。でも時々喋り方が独特なのは確かね。同年齢の男と比べればだけど」
なんとなくわかった気がした。きっと語音が荒いとかそういうのだな。
「で、どういう噂なんだ?」
もう乗りかかった舟だ。みなまで聞いてやる。というか、そうせざるをえない雰囲気だ。
「いい女と見るや横から手を出してくるってさ。『ナンパ荒し』って言ってたな」
ナンパ荒し!?
何だ、その不本意すぎる代名詞は。だいたいナンパしてないって何度言ったら…!!…無限罠かこれ?
その時、背後でブルマがけたたましく笑い出した。
「何だよ、ブルマ」
苦々しげな俺の口調にも構わず、ブルマは腹を抱えて笑い続けた。俺はというと、たっぷり5分間、堪忍袋の緒を押さえ続けた。
俺のというより他のみんなの視線に応えて、ブルマは息を整えた。
「あれよ、きっと。去年の」
そう言われても、俺にはさっぱり何のことだかわからなかった。去年も今年も、俺は何もしていない。…はずだ。
「あんた、あたしを助けたじゃない。去年、ナンパに絡まれた時。3回も」
「わたしも助けてもらいましたわ」
ランチさんが口を合わせた。
「じゃあ合わせて4回か。それはもう立派な『荒し』よ。こういうところの地元っていうのは、噂広まるの早いからね。きっとすっかり有名人だわよ」
カラカラと笑うブルマの声が、いつまでも俺の耳に響いた。

俺はぶすったれた。ああ、そりゃあもう、ぶすったれたよ。
何で人助けをして、そんな噂を立てられなくちゃならないんだ。割りに合わないにも程があるぞ。
「そんなに怒らないの」
笑いながら、ブルマが肩を叩いた。
「いいじゃない。きっと誰にも絡まれないわよ、あんたといれば。絶対安全だわ」
そりゃあ、おまえはいいだろうよ。おまえは何も言われてないからな。
そもそも、おまえを助けてこうなったのに。何で俺だけ被害にあってるんだ。
「ね、泳ご」
まったく何事をも感じさせない口調で、ブルマは言った。
「そんな気分じゃないよ」
「あっそ。じゃあいいわよ、一人で泳ぐから。あの島まで行こっと」
こいつが小憎たらしく思えるのは、こういう時だ。
残り少なくなったペリエを一気に飲み終えると、ブルマはパーカのジッパーを引いた。俺は渋々腰を上げた。

水はぬるかった。人間の発する熱気が自然にまで伝わっているようだ。
「ねっ、気持ちいいでしょ。いつまでもうじうじしてちゃダメよ」
清風の作る波間から顔を覗かせたブルマの言葉に、俺は思わず苦笑した。
一応慰めてくれてはいるんだな。どうせ、自分の利と半々ってところだろうけどな。
俺とブルマは空を見上げながら、のんびりと自らを漕いだ。やがて波の向きが変わり、俺たちは新たな大地に上陸した。
今日はサーフボードは見当たらなかった。横目にそれを確かめながら、島で最も目立つ場所――あの崖の上――に2人並んで腰を下ろした。岸壁の下を覗き込みながら、ブルマが言った。
「マシュマロ持ってくればよかったかな」
「ははっ」
微かな笑いが漏れた。なかなか言うな、こいつも。豪胆と言うべきか、またずいぶんシニカルな発言だ。
確かにあの時あのマシュマロがあれば、少なくともこいつは生死の境を見ずにはすんだだろう。でも、普通考えるのはそこじゃないよな。
「おまえさあ、ここに来て平気なのか?普通、避けたりするもんだろ」
『ナンパ3回』とこいつは言ったが、正確には2回だ。あれはナンパどころじゃない。そう扱うのは軽率に過ぎる。
俺が言うとブルマは崖下から視線を戻し、平然と答えた。
「あんたがいるから平気よ」
思わず、ブルマの顔をまじまじと見つめた。ブルマはやっぱり邪気のない瞳で俺を見返した。
…まったく、こいつはなあ。わかってるんだかいないんだか。
俺は嘆息した。それはすぐに笑みに変わった。
ふとブルマの頬に触れた。目を丸くするあいつの様がかわいかった。
「あんた、どう…」
俺は口を塞いだ。
その唇は、少ししょっぱかった。

俺がその肩を抱くのにも慣れてきた頃、にっこり笑ってブルマが言った。
「あたし、あの場所行ってくる。また何か見つかるかもしれないから」
あの場所?…ああ、あれか。去年石を見つけたところか。
「おまえも好きだなあ」
俺がそう言った時には、ブルマはすでに駆け出していた。その様子を、俺は意識して見ていた。見慣れたはずの後姿。でも、ここに来る前、ブルマが衣服を脱ぎ捨てた時に気づいたんだ。

やっぱり変わったよな、こいつ。
もともとスタイルはよかったやつだけど、なんていうか…少し大人っぽくなった。
考えてみれば、こいつももう大学生だし。あれ?ということは同い年になったんだよな。誕生日っていつだったっけ?




「ちょっと!それどういうことよ!!」
俺の思考はブルマの怒声に遮られた。俺は思わず溜息をついた。
まったく、あいつはなあ。余韻ってものがまるでないんだからな。…しかも、またケンカか。こんなところまで来て何やってんだ。
声のする方へと目を向けた。ブルマとそれに相対する3人の男が見えた。…3人?
おまえ、幾らなんでも無謀すぎだ。せめて1対1でやってくれ。
『慣れ』という友人と共に、俺はブルマの元へと駆けつけた。そして、訊くまでもないことを訊いた。
「どうした?ブルマ」
だって、他にどんな声のかけようがあるというのだ。
「あ、ヤム…」
ブルマが振り向いた。
「…あっ!ちょっと待ちなさいよ!!」
その一瞬の隙を突いて、男たちは離散した。…やれやれ。
「ちょっと、逃げちゃったじゃないの!どうしてくれんのよ!!」
当たり屋かおまえは。
「放っとけよ」
「そんなわけいかないわよ!!」
俺は軽く首を捻った。どうやらナンパではないようだな。
「一体どうしたんだ?」
「あいつらあたしのこと美人局だって言うのよ!!何なのよその噂は!!」
美人局?
当たってるじゃないか。営利目的じゃないだけで。正確には当たり屋だが。
そうだよな。こいつ去年さんざんケンカ売ってたからな(俺が仲裁したのは2件だが、きっと他にも売っていたに違いない。ありうるというより絶対そうだ)。そういう噂が立たない方がおかしいよな。っていうか事実だし。
ふん、せいぜい甘んずるんだな。俺の噂は事実無根だが、おまえのは身から出た錆だ。火のないところに煙は立たぬと言うからな。それにこれで少しは俺の噂も収ま――
俺の思考をまたもやブルマの怒声が遮断した。
「そしてあんたはその共謀者よ!」
何だって!?
2人思わず顔を見合わせた。
「どうしてそうなるんだ」
「知らないわよ、そんなこと」


再び崖の上に腰を下ろした。波間に輝く太陽。時折聞こえる海猫の鳴き声。
ブルマが俺の腕を自分の肩に回した。
「噂なんていい加減なものよね。あたしたち、こんなに平和なカップルなのに」
「まったくだ」
俺たちは珍しく、意見の一致をみた。
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